怖い!リズム良く跳ぶって何?
あ~前回より遅かった。ずっと同じことばかりで飽きたな~。
ハードル走の授業。
得意な子は自分の記録に一喜一憂し、苦手な子はただ目の前のハードルを走り越すことで精一杯。
サッカーやリレーの学習であれば、「こっちにパス!」「ここでスタートして!」と、自然に声を掛け合う姿が生まれます。そのように協力し合った結果、チームの得点が増えたり、チームの記録が伸びたりすることも多く、互いが互いの成長を喜び合えます。しかし、ハードル走は個人種目です。一人一人が「自分の目標を越えること」を目指しているため、声を掛け合う必要性も、 協力する必要性も生まれにくいのです。
苦手な子にとっては、そもそも跳び越えることが怖くて、リズムのことなんて考えていられない。得意な子にとっても、ある程度のレベルに達してくると記録が伸びずに飽きてしまう。友達 にアドバイスをする余裕も無くなっていく。
一人一人がそんなモヤモヤした気持ちを抱えてしまうような危険性すらあるハードル走。 それでも、せっかく体育の授業で取り組むのであれば、「みんなが楽しく」「互いの成長を喜び あえる」授業にしたいですよね。
そこで、授業にこんな「しかけ」を使ってみるのはいかがでしょうか。
1個人種目ではなく、チーム種目としてゲームにする」
上記のように、ハードル走は個人種目ですが、4~5人のチームを作ります。個人の記録を書く 体育カードとは別に、チームカードを用意し、そこにも自分の記録を記入させます。毎回チームで の平均タイムを書かせ、チームの伸びを全体で誉めていきます。自分の記録が伸びなくても、友達 が良い記録を出せばチームとしては成果が出るので、自然とアドバイスをしあったり、チームで頑 張っていこうとしたりする姿勢が生まれます。また、ハードル走は苦手な子ほど伸びしろがあり、 単元後半に大きくチームに貢献でき、自己有用感も高まります。 さらに、各チームの平均タイムを合計して、クラス全体のタイムを記録していくと、違うチーム 同士でもアドバイスをし合ったり、応援し合ったり姿勢が見られるようになってきます。
2ハードルの高さに対する恐怖心を軽減する
運動の苦手な子にとって、ハードルを跳び越すことは「恐怖」でしかありません。高学年だか らという理由で、高さを上げてしまったら、跳び越そうという気持ちも起きないでしょう。その ため、ハードルの高さは一番低いものに設定します。一番低いハードルであれば、運動が苦手な子 でも足を曲げればハードルより高く足が上がるため、跳び越すことができます。
3ハードルを飛び越すリズムを共通の言葉にする
ハードルをなんとか跳び越せる子も、軽々と跳び越える子も、「跳ぶリズムがわからない」と いうことがあります。そこで、リズム良く跳び越せている子に、お手本として跳んでもらいます。 この時に、周りの子には目を閉じさせます。お手本の子が走り終えると、「同じリズムだ」「な んかリズムが良い」などと口々に言い出します。そこにすかさず「どんなリズム?」と発問するこ
とで、子どもたちが感じた「良いリズム」が合言葉として表出します。「トン ト ト トーン」 や「ゼロ イチ ニ サン」など、子どもたちが納得して決められればなんでも良いですが、私のクラスでは、「ゼロ イチ ニ サ‒ン」となりました。共通の言葉ができたことで、練習中も、記録を測るときもハードルの横に立って「ゼロ イチ ニ サ-ン」と言う声が聞こえてくるように なりました。
授業後の子どもたちの感想です。
・友達の記録が伸びたから、チームの記録も
伸びた!
・(ハードルが)高くないから怖くない!
・声をかけてもらえたからリズム良く跳べた!
体育の授業では、「できる・できない」が目に見えてはっきりしてしまうからこそ、得意な子が独りよがりになったり、苦手な子が悲しい思いをしてしまったりすることがあります。時にはクラ スの雰囲気が悪くなってしまうこともあります。しかし、体育の授業だからこそ、ちょっとした 工夫をすることで、どの子も楽しく、互いの成長を喜び合えるような授業ができるのでは ないでしょうか。
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